マラソン日本記録保持者の大迫傑選手が、ツイッターで、日本陸連(日本陸上競技連盟・JAAF)強化委員を批判していましたね。
この中で、大迫選手は、世界陸上2019(ドーハ大会)の日本代表選考会も兼ねた「日本陸上選手権大会10000m」への参加出場が認められなかったことへの不満をぶちまけています。
そのツイートはこちら↓
日本選手権、[本連盟強化委員が特に推薦する本連盟登録競技者]
という枠で出場しようと試みましたが、叶いませんでした.....。
陸連強化委員からの[大迫くんが日本選手権でいい走りをするとそれに負けた選手のランキングが下がり、不平不満が出るから]という理由でした。すごい理由だな。笑笑 pic.twitter.com/VX074DzGO1— suguru osako (@sugurusako) 2019年4月23日
考えられる建前は、ランキング制が適応されたので公正を期したい。だと思いますが、そう考えると矛盾が多々あります。
1)なぜこの様な項目を入れたのか
→おそらく強化委員所属チームのお気に入りの選手を出場させたいから。— suguru osako (@sugurusako) 2019年4月23日
これを見ると、大迫選手の矛先は、日本陸上選手権大会10000mへの参加を認めなかった日本陸連の強化委員だというのが分かります。
大迫選手のツイッターでは、複数回に分けて、この日本陸連強化委員の対応に対する不満をツイートしています。
しかし、ツイッター上だけだと、文字数制限もあってか、事実関係が分かりづらいです。
また、ネット上でも、この件に関して、スポーツ新聞などの大手メディアによる記事が書かれていますが、大迫選手が怒っている理由を、詳しく書いているところは見当たりませんでした。
そこで今回は、大迫傑選手が、日本陸連を批判している理由やその内容について調べてまとめましたので、ご覧ください。
目次
第103回日本陸上選手権(日本陸上競技選手権大会)10000mの概要
まず、大迫選手が問題にしている第103回・日本選手権(日本陸上競技選手権大会)10000mの概要を簡単にまとめると、次の通りです。
【大会名】
第103回日本陸上競技選手権大会10000m
兼ドーハ2019世界陸上競技選手権大会・日本代表選手選考競技会
【主催】日本陸上競技連盟
【共催】一般社団法人セレッソ大阪スポーツクラブ(予定)
【期日】2019年5月19日(日)
【場所】ヤンマースタジアム長居
【種目】男子10000m/女子10000m
【申込期間】2019年4月10日(水)13:00 ~ 5月7日(火)17:00
5月19日(日)の大会ですから、もう1ヶ月を切っています。
そして、参加資格者による申込期間も始まっていますので、大迫選手としも、意を決してのツイートだったことが分かりますね。
それでは、次に、問題となっていて、大迫選手が指摘している参加資格について見てみましょう。
第103回日本陸上選手権(日本陸上競技選手権大会)10000mの参加資格
第103回・日本選手権(日本陸上競技選手権大会)10000mの参加資格は、次の通りです。
なお、日本陸上競技連盟(JAAF)の公式サイトより引用していますが、一部、今回の大迫選手が指摘している参加資格と関係無い点については省略しています。
【第103回・日本選手権(日本陸上競技選手権大会)10000mの参加資格】
2019年度本連盟登録者で、下記の(1)から(4)のいずれかに該当し日本国籍を有する競技者(日本で生まれ育った外国籍競技者を含む)。
但し、男女の10000mでは日本選手権参加標準記録Aを満たし、参加申込のあった外国籍競技者のうち、出場資格記録の上位6名までをオープン参加として出場を認める。
(1)第102回日本陸上競技選手権大会の優勝者(但し、その種目に限る)。
(2)参加標準記録Aを突破した競技者。
(3)第102回日本陸上競技選手権大会クロスカントリー競走で下記の成績を収めた競技者。
※内容は省略
(4)・2019年度の地域選手権が、2019年5月6日までに開催された場合は、各種目3位以内に入賞した競技者で、参加標準記録Bを満たした競技者(開催されていない場合は、2018年度の地域選手権各種目3位以内に入賞した競技者で、参加標準記録Bを満たした競技者)
・本連盟強化委員会が特に推薦する本連盟登録競技者。
・開催陸上競技協会が推薦し、本連盟強化委員会が承認する競技者。
※出典:日本陸上競技連盟(JAAF)公式サイトより
ちなみに、この参加資格の文中に出てくる参加標準記録(10000m)と記録の有効期間は、次の通りです。
【参加標準記録(男子)】
男子10000m A標準記録 28分20秒00/B標準記録 28分45秒00
【参加標準記録有効期間】
記録の有効期間は、2018年1月1日~2019年5月6日まで。
ちょっと色々と、参加資格に関する条件が多いようですが、そもそも大迫選手は、この条件を満たしているのでしょうか?
大迫傑は日本選手権1000mの参加資格を満たしているのか?
この話の中で、最も気になるのは、大迫傑選手が、この日本陸上選手権10000mの参加資格を満たしているのかどうかです。
見てみると、この参加資格の要項で、大迫選手は(4)に該当するようですが、この(4)については、3つの条件が揃っていないと出場できません。
そのうち、1番目の「地域選手権で3位以内に入り、参加標準記録Bを満たした競技者」という点については該当しています。
実際に、大迫選手は2018年7月14日の北海道陸連主催の士別大会という大会で、28分26秒41という記録で優勝しています。
残念ながら、参加標準記録Aの28分20秒は超えることができませんでしたが、その記録Aに、あと6秒迫るタイムです。
ただ、大迫選手のベストタイムである27分38秒31(日本歴代6位)に比べると物足りないですが、おそらく、この時期は、2018年10月に日本記録を叩き出したマラソン競技の方に標準を合わせていた可能性もあると思います。
そして、ここからが大迫選手が問題にしている(4)の残り2つの条件です。
それが、次の通りです。
- 本連盟強化委員会が特に推薦する本連盟登録競技者。
- 開催陸上競技協会が推薦し、本連盟強化委員会が承認する競技者。
う~ん、何とも抽象的で、ハッキリしない条件ですね~
これだと、あと6秒ちょっとで参加標準記録Aを超えた大迫選手は、過去の実績やベストタイムを考えても出場できそうですよね。
さらに、参加資格の要項の中に「その他」と題して、次のようなことも書かれていました。
【その他】
・エントリー数の関係で競技運営上困難が生じた場合は、上記の参加資格を有する競技者であっても参加を制限されることがある。
その場合、上記参加資格に記載される(1)~(4)を優先順として出場者を決定する。
・男女10000mについては、上記の参加資格を有する競技者で男女各30名に満たなかった場合、参加標準記録に達しなかった参加標準記録有効期間の記録上位者から追加する場合がある。
これを見ると、何となく、地域選手権の男子10000mで参加標準記録Bを突破している選手は、30人もいないのではないかと思ってしまいます。
実際に、昨年2018年の日本選手権10000m決勝のYouTube動画を見つけましたが、これを見ると、全部で17人が出場しているようです。
ちなみに、その動画はこちら↓
ちなみに、この昨年の日本陸上選手権10000mの結果は、優勝した選手でさえ28分30秒66ですから、大迫選手の28分26秒41よりも4秒遅いですよね…
これを見れば、どう考えても、「本連盟強化委員会が特に推薦する本連盟登録競技者」に当てはまっても良さそうなものですが…
まぁ、この中の「特に」というのが、とても怪しい気がしますので、大迫選手が「おそらく強化委員所属チームのお気に入りの選手を出場させたいから」とツイッターで批判したのも無理ないですよね。
※4月24日(水)昼12時頃追記
本日午前中の陸連の発表(反論)では、日本陸上選手権10000mに、参加資格のある参加標準記録Aを突破している選手は20人で、標準記録Bを突破している選手を含めると、大迫選手は全体の26番目だそうです(体調面等もあるため、資格のある全員が参加出場するとは限りません)
世界陸上の選考会でもあり、オリンピックの前年だからでしょうか、今年は思った以上に、レベルが高いのかもしれません。
まとめ
以上が、今回の「大迫傑の陸連批判の理由や内容は?何で日本選手権10000mの件でツイートしたの?」についてまとめた記事ですが、いかがだったでしょうか。
最近は、レスリング協会や体操協会、ボクシング連盟など、様々なスポーツで、取り仕切っている立場の協会や連盟などによるスキャンダルが後を絶ちませんが、今回の大迫選手による日本陸連批判もそのひとつでしょうか。
そういえば、あのプロランナーに転向したマラソンの川内優輝選手も日本陸連を批判していましたね。
こういった一連のスキャンダルを見ていると、どうしても、代表選手を選ぶ立場の協会側が上の地位にいるかのような感じてに思えてしまう印象があります。
しかし、スポーツで、一生懸命に頑張っている選手たちの姿を見て感動したり、喜んだり、時には、泣いたりするファンから見れば、そんな地位や立場なんかはどうでもよく、ちゃんと公平に正々堂々と運営してほしいと思ってしまいます。
本人も言っていますが、大迫選手は、今回、本当に勇気を持って、ツイッターによる発言をしたのがよく分かります。
ですので、本人が希望するのであれば、これだけの実績のある選手ですので、今回の日本選手権10000mには出場してもらいたいですよね。
マラソンも含め、この勇気ある大迫選手を今後も応援していきたいものです。